2014年11月13日木曜日

3Dプリンタを使ってみる(2)死闘篇



 いろいろあって、3Dプリンタについて本格的に取り組んでみます。

 まずアメブロでの、3Dプリンタ導入にあたってのエントリを。


参考:





使ってる機械、CUBIS。6万円を切ってる。


 まずミニチュアのお椀の作成。

 簡単に行くと思ったら、それが大間違い。

 逆さにしてレイヤを積み上げると、底の部分が充填しきれない上に、ノズルの行ったり来たりの境界でお椀の肌にいやな線ができる。

 で、「くるくる巻いて整形」を選ぶと、その線はできないけど、今度はかご状になって中が充填できない。これは仕様らしい。壁のあつさが1枚だけになって、しかも充填なし。今更気がついた。

 

 というのが導入2日目。




 そんななか、またインピーダンスボンドを作ったり。これは難易度ほぼゼロなので、楽に作れて楽しい。




 アナログ運転用の信号所に設置してみる。うむ、信号機の足元が引き締まったような気が。これレイアウト小物で作ってるメーカーをまだ見たことないんだよね。(と書くと作られるだろうな……まあいいけど)

 ちょいとスケールより大きめだけど、信号機も大きめなので、しかたがないのだ、としておこう。




 そして導入3日目。



 造形をはじめると、


 なんだこりゃああああ!



 かごどころか、フルーツとか入れてるネットみたいになってしまう。もうわけわからん。




 というわけで、これは根本的におかしいと判断、機械添付のサンプルデータに戻る。



 うん、なんとか0.2mmピッチでレイヤを積み重ねてる。

 でも動作見てると、オーバーハングした形状を無理に積み重ねようとして、レイヤがめくれて、そこから整形が不正になったりしてるな。



 しかも、めくれたレイヤをノズルからのフィラメントが引っ張ってグラグラ・・・

 うあああ!

 同時整形したモデルの一個が造形台から外れてしまった。

 しかもまだ成形中。

 仕方なくその外れたモデルを除去しようかと思ってると・・・

 そのモデルが他の同時成型してるモデルを巻き込んでいく!




 ストーップ!




 というわけで、なかなかうまく行かない。




 とりあえず「0.15ミリピッチ以上のレイヤピッチに興味はありません」でがんばってみる。まず精度一杯を引き出したいのです。




 まずひっくり返らないようにブリム、薄く造形台に張り付く裾を作って固定してみる。

 すると、ある程度良くなるけど、やっぱり途中でグラグラし、最後にひっくり返る。






 もう煮え煮え。かろうじて出来たのはお椀というよりドコモダケ、じゃなくてえのき茸みたいな悲惨なもの。




 もうぐれた。モチベーションゼロ。




 というわけで、




 思い切って、むかし外注した「あかまつ・あおまつ」の顔を出力してみることに。


 そして、サポート、造形補助用の柱が自動でつくというので、サポートが付く設定にしてみる。


 やってみると、…サポートがうまくつかない。サポート、役に立ってない。



 で、傾けて整形しても、肝心のお顔の平面が埋まらない。見るも無残。




 そうしたら、「ブリッジ部分をサポートしない」のチェックがオンになってる。しかも推奨はオン。

 思い切って、そのチェックをオフにしてみる。



 おお、サポートがもう少し増えた!


 でもやっぱり顔がアバタみたいになって埋まらない。


 ここまで、成形時にレイヤめくれしないように、フィラメントの送り量を調節。正確には充填率を下げていってる。厚み0.2とかでやってるもんを0.15厚にするんだから、同じ量充填しちゃったら体積的に無理になるよねと。


 で、かなり充填率を下げたら、レイヤめくれはなくなって、整形もある程度できる。


 でも、縁はベロベロだし、屋根みたいになってるブリッジ部はうまく埋められない。




 ここで気づいた。


 傾ける角度を変えよう。




 つまり、造形するときに天井みたいになるところに顔を持って行っているので埋まらないのだ。


 逆に、びっしり積層して埋まる側壁の部分に顔を持ってくれば、埋まるはず。




 で、やってみた。



 やや成功。


 うん、顔が埋まると、イイね。


 でもあちこちうまく行ってない。縁はベロベロだし。




 ということは。




 禁断の元モデルいじりに走ります。




 サポートがつかないなら、なければつくればいいじゃん、と。

 Shadeで原型にサポートを付けて、その時点で傾斜させときます。


 で、出力。


 うむ、一気に行けた感じ。




 充填率とかの設定はこのままで良さそう。
IMG_2070.JPG


 さらに原型をいじります。自動でつくサポートはあてにしないでどんどん付けます。

 あと、原型のエッジがうまくいかないなら、エッジの先を延長して、捨てエッジにして、造形が安定するまで時間稼ぎをはかります。

 延長したエッジも外しやすいように工夫。




 で、出力。




 結局、造形底面がしっかり広くないと、造形時にひっくり返るのね。ブリムつけてても。

 だから傾けたんだけど、一番欲しいディテール面は仰向け方向に、屋根にならない感じで積み重ねるといい感じ。


 オーバーハング部には小さなサポートを自分でバリバリつけてみます。




 で、いきます。


 おおー、安定して整形してる。グラつきも無し。当たり前だ、サポートつけまくってるから。


 時々ライトで照らして状態を見ます。


 うぐぐ、ディテールは甘くなるなあ。




 この時、前に外注したショップの機械が業務用の光造形方式であることに気づく。




 うわーっ、勝てるわけ無いじゃんよー!!!




 でも光造形機は200万近い。とても買えない。友人Y氏は「安いじゃん」と言ってたけど、私の経済規模では無理。Y氏の経済規模にはかなわんです。




 ぐぬぬと思いつつも、そこそこ整形。




 で、おお、イケるぞと思ったら、


 おデコライトの部分のレイヤ面積が小さすぎて、

 重ねる>冷えて固まる>その上に重ねる


 じゃなくて、


 重ねる>まだ冷えて固まらない>その上に重ねる>更に固まらない>さらに


 で、熱でドロンドロンになって、終了。


IMG_2073.JPG


 おデコライトのところが溶けて、びろーんと伸びた。

 うぐぐ、惜しい!


 そこで、ヒントを思い出します。




「冷却の時間稼ぎには、同じレイヤにダミーのものを作らせましょう」




 原型がいじれるので、それはできる。


 というわけで、面積の小さいおデコライトのレイヤの退避用に、逆三角錐のダミーを捨てエッジの上に作ります。


 そして、実行。


 いけーっ!


 で。

IMG_2081.JPG


 できました。

 実験開始から3日目、ようやくこれが作れました。


 途中で、いろいろ3Dプリンタの使い方のいろいろも学びました。造形を造形台から外すときのやりやすいやりかたとか。

IMG_2067.JPG



 そしていつか見たよな死屍累々。


 作った試験モデル出力、25回。

 1回30分から50分、取り出しのための冷却と加熱整形準備入れるとモデル出力、1セット1時間以上。

 出来上がったモデルのディテール、甘い。

 出来上がりモデル重さ、2g。

 フィラメント価格、500gで2980円。

 電気代、不明。(まあヘッドが温度230度、造形台が110度をキープするぐらいなので)


 出来上がった時の喜び、プライスレス。

 頼まれて作るとした時の手間賃、これもプライスレス。


 これ、仕事で請けてこれやるのはヤダよう……。


 細かいもののディテールは結構甘くなるなあ。


 とはいえ、まだまだやってないこともいっぱいあるので、研究を続けます。

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