2014年11月15日土曜日

「激闘!宇宙駆逐艦」(月刊群雛掲載)の「あとがき」

 もうじき発売の群雛12月号を待ちながら、群雛11月号掲載で最終話となった「激闘!宇宙駆逐艦」のあとがきを。12月号もレビュー書くつもりだったりします。


 いや、レビューを頂いて、すごくうれしくなって書いたお返事から書いてみました。







 まず、「激闘!宇宙駆逐艦」の作中の宇宙駆逐艦艦長(宇宙戦艦じゃないのよ)のシャーロット中佐、すごく好きなんです。米宇宙艦隊の士官なんですけどね。



 女性としての造形はどうかとかそういうのはすごく悩みましたが、もうジェンダーとかそういうのはあえて、言いっこなしにしました。
 戦記はどうやっても男性読者中心ですから、まず男性読者に響くのが第一目標と考えて書きました。

 すごくオトコな話にしてしまいました。まあ、女性でも「男らしくていいですね」って言われる方もいますから、そこら辺を念頭にしてます。


 ちなみに、戦闘行動中の寸時の休息で、ブリッジにいるまま戦闘糧食パックのスパゲッティ食べての艦長の「おいしいね」のシーン。
 あれ、「踊る大捜査線」地上波冬スペシャルの、恩田すみれ(刑事・深津絵里が演じた)が、自分をいやいやながら尾行してくる青島刑事と一緒にレストランに入って(当然席は離れてる)、そこでやるしぐさがヒントだったりします。


(ちなみに艦長はたって指揮してます。他のクルーは席についてますが。それが艦長の美学なのです)

 また、その前に、とある理由で人類を窮地に追い詰めるシファの猛攻に絶望に陥っている提督や幕僚相手に勇気を見せるのもなんとなくすみれさんのキャラっぽいところかもしれません。
 私、「踊る」の初期シリーズ好きなんです。背があんまり高くないけど向こうっ気がある女性、としてはほんと、ピッタリだったかも。

 書いてる時ははじめ、それをあんまり意識してなかったんですが、連載なので途中時間があり、見なおしたら3幕目から「あ、これすみれさんだ」と思って、それで「おいしいね」のシーンを入れたということだったりします。


 実は2幕目でカレーの話もしてます。

 恩田すみれは食にうるさい(しかしグルメではなく食いしん坊方向で)キャラなので、艦長が海軍カレーについてド熱く語るそこも合致してるかもですね。

(横須賀勤務時代に同じ横須賀や厚木とかの自衛隊とその後継の連合艦隊の金曜カレーを食べに回るという話をするのです)


 これはあまり深く書くつもりはなかったんですが、入稿してチェック中、ちょっとした語の接続で「あれ?」と編集の晴海さんたちと思って、私もそこでよく考えたら、あれよあれよとどんどんキャラ造形が深く広がっていったというところで、ほんとうに感謝なのです。

 ということはそれだけメーワクをかけてるということでもありますが(ヒドイ。


 でも、良い編集さんって、ほんと、ぼんぼここっちの引き出しを開けてくれるので、すごく作品作りに力になってくれます。デビュー作のK社Kさん(赤ペン大賞受賞)もそうでした。良いツッコミをしてくれるのでどんどん世界を分厚くできるという。

 私自身、十分に構築して作品を作っているのですが、それは作品世界の設定で、作品ってのはそれをレンダリングしたものなんで、影になったりレンダリングエンジン(私)のミスで出ないところもいっぱいあります。そこを、出そうよ、とやってくれると、すごく嬉しいのです。

 小説書くなんて承認欲求まみれだし自己顕示欲に自己愛なきゃやれませんが、でもその割には作品書いてるところで引っ込み思案になってしまうところもあるのです。


 自分でやってることを承認欲求とか自己顕示欲だな、と自覚してても、それをマジでおもったら、てきめんに書けなくなりますから。というか、それでドバっと2日ぐらい何も出来ずに心身症になって苦しみます。いやほんと。

 そういうことを、書く人、作る人にいうってのは、生きてる人に「そんなに生きたいのか? しねばいいのに」というほど、すごく酷なことなんですよ。それでもがんばって私は書くけど、承認欲求を自覚する程度には繊細なんですよ。いちおう。

 いろんな人間の行動、そして生活って、ほとんど承認欲求で作られてるといっていいと思う。難病とかの余命宣告ってのはその生きてることをおもいっきり否定するわけだから、耐えられない人も結構いる。

 そういうデリカシーないことしてって、なにか良いことあるのかと思うけど。逆に読んだよ、って承認してあげるってことは、お互いに互いの生存を承認することで、すごくいいことと思う。

「オレもがんばったけど、お前もすごいな!」って承認し合うってのは、とくにホビーの世界だとすごく大事なマインドだと思う。もちろん趣味の合う合わないはある。趣味ってのは繊細なものだから。でも、他人のそれを承認することは、結果としてその趣味全体を豊かに、自由にしていくと信じてます。

 ただマイナス方向に引っ張るのはだれでもできるし、何の知恵も技芸もいらない。プラス方向に、承認方向に持っていくのがまず大事だと思うのです。




 ちなみにこのシファ、女性型女性サイズの最強最小の宇宙戦艦で、初めはクールな守護天使だったのですが、今思うと、そりゃもちろん強くて、強すぎてチートなんですが、結構おマヌケなところがあるんですよね。「姿の見えない艦艇ってあるんですか?」とか。それはあなたが言っちゃダメでしょ、みたいな。

 そういうことに気づかないで書いちゃってたのは私の未熟でもあります。でもそこをもう一度やり直してるのが今やってるHD版プリンセスプラスティックなのです。

 そりゃ、シファはZIOTという支援システムと巨大超高速の演算システムと、武装だけでなくそういうシステムを安定動作させる時空潮汐機関というごつい電源を持ってますが、でもそれは公務、勤務中の話です。

 だから、プライベートでそういう機械を使えないと、補助輪なしの自転車にも乗れないほどの極度の運動オンチで、しかも人格認められてるところでミスしちゃったりして、システムの使用が制限されて、出撃するときは空飛んでいったのに、帰りは近いヘリポートに降りた後、電車とバス乗り継いで、とぼとぼと基地に歩いて帰ったりしさえしてます。ああああ、ロボットである意味がない……。

 しかも酔っ払って寝てるところを起こされるときに胸元のペンダントをダブルクリックされるとガバっと起きてしまったり。

 でも、そんな彼女が、「激闘!宇宙駆逐艦」では、乗っ取られて容赦の無い攻撃、殺戮をして人類を絶滅寸前まで追い込む。

 なにしろダメージ回生システム「フォースフィールド」にレーザー、弾数無制限のミサイル、自身と同じ戦闘能力を持つ無人アクティブ戦闘デコイシステム「マルチプル」4機を引き連れて飛び回るわけですから。……はい、アレです。あの懐かしのシューティングゲームです(笑。

 あのゲームを本気でストーリーにしたいと思ったのもプリンセスプラスティックのモチーフの一つですから。だから1Pカラーでシファは青、2Pカラーでミスフィは赤なんですよ。

 そのシファはシファで、なんでそうなったかというのは、またとても悲しい理由があるのです。この「激闘!」はプリプラの最終話14巻「エンジェル・スティア」での戦いを、そのやられる側の宇宙駆逐艦からみた話なのです。


 もしご興味があれば、「群雛」あるいは「プリンセス・プラスティック」をよろしくです。


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米田淳一の公開中の本 | ブクログのパブー

 (パブー版はいずれ更新しますが、このぶんだとなかなか進まないので、お急ぎの方へ)

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